【鳥は飛ばねばならぬ】 坂村真民
鳥は飛ばねばならぬ
人は生きねばならぬ
怒涛の海を
飛びゆく鳥のように
混沌の世を生きねばならぬ
鳥は本能的に
暗黒を突破すれば
光明の島に着くことを知っている
そのように人も
一寸先は闇ではなく
光であることを知らねばならぬ
新しい年を迎えた日の朝
わたしに与えられた命題
鳥は飛ばねばならぬ
人は生きねばならぬ
春は心がざわつく時でもあります。
天候で言えば「花時雨」の季節になりました。境内には江戸彼岸枝垂桜が満開を迎えています。また、この季節恒例のツバメが戻ってまいりました。いま、ちょうど昨年の巣を手直ししております。
雨が多くなるこの季節、天候は定まりません。今が見頃の満開の桜もやがては「花時雨」によって散り、巣立ちしたツバメが半年後の渡りまで生きながらえる生存率は13%と低い現状があります。
自然界と同様、人間界でもこの季節は、転職や就職、進学や入学とセカンドプレイスにおいて大きな変化が起こる季節でもあります。
春の陽気に清々しく心躍る人がいる一方、この時期は訳もなく不安な気持ちにさせるから苦手、という方も多いのではないでしょうか。
そんな時は、坂村真民氏の「鳥は飛ばねばならぬ」をご一読ください。
鳥は飛ぶことに意味があり、人間は生きることに意味があるのです。しかし人間は、どうしても「人生の意味」を問い、考える生き物のように思います。生きることの意味を考えるのではなく、「生きていることに意味がある」ということに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
「桜はなぜ咲くのか」ではなく、桜は咲いているだけで素晴らしい。
「雲はなぜ浮かぶのか」ではなく、浮かんでいるだけで清々しい。
「雨はなぜ降るのか」ではなく、降るなら傘をさせばいい。
「ありのまま」に子供のように素直な心で感受することが大切なのです。
コロナ禍が続くことで、心のストレスに押しつぶされる方もいるでしょう。
季節の変わり目で生きていることに悩み苦しんでいる方もいるでしょう。
そんな時こそ、あれやこれやと考えすぎず、
「一寸先は闇ではなく 光である」
と鳥が本能で信じきっているが如く、そんな強い心を持った生き方を我々大人もしていきたいものです。
お不動様は、五歳の子供の姿をしておられます。それは子供の持つ「素直さ」を表しているのです。
「生きていることに意味があるのだと」子供のように穢れなき素直な心で「ありのまま」に捉えることができるように精進していきたいと思います。
合掌