お焼香に隠された意味合いとは?

お香は、白檀など香りのある樹脂や木を使用して作られています。香木を刻んで焚くことで生活臭や体臭などを防ぎます。その空間を良い香りで充満させることで心身ともに清々しい状態となることを目的としています。

こんな伝承が残っています。
お釈迦さまの弟子に富那奇(ふなき)という高僧がいました。富那奇は、兄の羨那(せんな)と共に一念発起し、力を併せて故郷にお堂を建てました。2人は一刻も早くお釈迦さまをお迎えしたく、敬慕する気持ちを込めてお香を焚いたところ、その煙はお釈迦さまのもとへ天蓋(きぬがさ)となって届き、2人の供養する心を悟られたお釈迦さまは、その煙に乗ってすぐさまそのお堂にお出向きになり、説法をされたと言います。

この伝承のように、心を込めてお香を焚き想いを馳せることによって、その気持ちは仏様に届き、その煙に導かれてその場所へ来られるとされました。
仏様と故人を同一視する時代の中で、亡くなられた方へのご供養の作法にお焼香は定着したのでしょう。

焼香の作法を通して

私たちは、往々にして目の前の作法にとらわれ、本来の意味を見失ってしまいます。
物理的に香木を焚き良い香りを漂わせる作法を通し、日々の行住坐臥での「行い」を整えることに本来の意味があります。良い行いによって香気を身に纏うこととなり、その香りこそが故人への本当のご供養となるのです。

四苦八苦のある現世において、心を安定させ香気を身に纏い生きることは、簡単なことではありません。しかし、ご先祖様から脈々と命の火を繋いでくださっているからこそ、私たちはいま生かされております。これは、大袈裟ではなく奇跡であり、とても有難いことなのです。この有り難さに真に気が付いた方から、実践していきましょう。
生きることが大変なこの現世において、生かされているという有り難さに目を向け、ご先祖様・故人様を安心させてあげてください。
そのためにこそ、香気を身に纏う必要があります。香気を身に纏うことが、亡くなった方への最上のお供えなのです。

実際の作法を通して、この隠されたメッセージに目を向け「生き様」を知らしめてください。それはご先祖様への供養にとどまらず、共に生きている周りへのメッセージにもなるのです。
私たちが家族や周りに残すことができるのは、お金や土地、財産ではなく「生き様」なのです。様々な問題が生じる現世において、「どのように向き合ったか」これが生き様なのです。「香気の発する」生き様を残せるよう精進いたしましょう。

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