我々「人」は、天と地の間に生かされています。天と地の「気」を受けて日々生活をしているのが私たちです。この時期は、特に気候の変動が激しく自律神経が乱れ心身を崩す方が増加します。
この自律神経とは、交感神経、副交感神経の正しいバランスが崩れることが自律神経の乱れとなります。自律神経のバランスが乱れる原因は様々です。
まずはストレスや過度の緊張。ストレスが強くなると交感神経が過度に強くなり、アクセル全開でブレーキが利かない状態になります。
そこで、ストレスや過度の緊張を和らげる手段として「マインドフルネス瞑想」が流行しています。
今回は、この瞑想についてお話をしたいと思います。
四・五世紀に誕生したとされる『ヨーガ・スートラ』では、「心の働きをおさえる」ために八つのプロセスを説きます。
①禁戒―悪いことをしない
②勧戒―良いことをする
③坐法―姿勢を調える
④調息―呼吸を調える
⑤制感―感覚を調える
⑥疑念―対象に集中する
⑦観想―正しい瞑想
⑧三昧―意識と対象が一体化する
①から順番に実践し⑧の「三昧」に到ることを目的とするわけですが、この時の瞑想状態とは「完全に心の働きを止めた安らかな状態」であるといわれます。
ちなみに、この中の⑦のプロセスである「観想」をインドの言葉で「ディヤーナ」といい、その音を漢字で表現したのが「禅那」。そして「禅」となったのです。
⑧の三昧というとなんだか難しそうですし、このことを仏教に当てはめれば、「悟り」ということになって、さらにハードルが高くなってしまうかもしれません。でも、仏教とは、心を磨き、人格を高めていくための教えであると考えてみましょう。
お釈迦様が最晩年に弟子のアーナンダに語った次の言葉があります。
「アーナンダよ、向上に努めた人が執着を離れ、欲望を滅することによって、わだかまりのない心の統一に入る時、その時その身体は健全なのである」
つまり仏教の実践とは、心を統一し、自ら向上させていくことであるといってもいいのです。
私たちは、身なりを整えたり、部屋の掃除をしたりと、目につくところには気をかけます。
しかし、目に見えない自分の心はどうでしょう?
他人の欠点はすぐ目に付きますが、自分の欠点はどうですか。
日々何気なく過ごしていると、心の汚れにはなかなか気づかないものです。すると、散らかしっぱなしの部屋がやがて収拾がつかなくなるのと同じように、心もついには停滞してしまいます。すると何をしても、つまらない、面倒くさいで終わってしまいます。なので、お釈迦さまは、努めて自心を振り返る必要を説かれたのです。
「心を清め人格を高めていく」それが瞑想という修行です。
ストレスや緊張を解く鍵は、自身の中にあって、自身の外をいくら探したとしても見つからないのです。その自身の心が散らかりっぱなしであれば、その鍵を見つける前に体調をこわしてしまうのです。
だからこそ、瞑想の時間をもつことが大切となるのです。
ヨーガと真言瑜伽の説明は次回となります。お楽しみに。